小林農園の日々

全国政策研究集会2026 in 岡山に参加しました

― 人口減少社会の今、自治体に問われるものは? ―

日にちが前後しますが、8月23日(日)・24日(月)の2日間、岡山県で開催された「全国政策研究集会2026 in 岡山」に参加しました。

今回のテーマは、

「人口減少社会の今、自治体に問われるものは?」
~賢く縮むための熟議と民主主義~

です。

人口減少や高齢化が進み、これまでと同じ規模の行政サービスや公共施設を維持することが難しくなる中で、自治体はどのように地域の未来を描いていくのか。「縮小」を単なる後退と捉えるのではなく、住民の暮らしを守りながら、限られた人・モノ・財源を未来への投資に振り向ける「スマートシュリンク(賢い縮小)」について、全国の先進的な取り組みを学びました。

■ 基調講演「賢く収縮するまちづくり」

基調講演では、岡山県美咲町の青野高陽町長から、「賢く収縮するまちづくり―岡山県美咲町の挑戦」と題して、美咲町の取り組みについてお話を伺いました。

人口減少と歳入の縮小を見据え、まちの規模を適正化しながら、将来世代に過大な負担を残さない持続可能な自治体をつくる。その一方で、まちが縮小しても住民の生活を守るために、収縮によって生み出された「ヒト・モノ・カネ」を未来への投資に振り向けるという考え方です。

具体的には、公共施設の機能集約や規模縮小を進めるファシリティマネジメント、自治会の再編、学校教育を核とした地域づくりなど、さまざまな取り組みが紹介されました。

特に印象に残ったのが、自治会の再編です。

役員の負担が大きくなっていた自治会を、81から31へと統合。これまで「イベントを担う組織」になりがちだった自治会を、日常の生活支援や福祉支援を担う場へと転換していく取り組みです。

また、学校・教育をまちづくりの重要な柱と位置づけ、義務教育学校を開校するとともに、英語特区など特徴ある教育にも取り組んでいます。

さらに、「美咲町小規模多機能自治」の取り組みでは、地域住民が主体となって地域の未来を考える仕組みをつくっています。

住民アンケートも、行政が一方的に設問をつくるのではなく、項目づくりから住民が参加し、小学校4年生から大人まで地域全体で考えるというものです。

「子どものためなら、住民が一丸となれる」という言葉も心に残りました。

そして、地域の未来を考える中で、女性がまちづくりの場に出てくると取り組みが強く進む、というお話もありました。

人口が減るからこそ、住民一人ひとりが地域の担い手となり、世代や立場を超えて地域の未来を考える。行政だけに任せるのではなく、住民とともに地域をつくっていくことの大切さを感じました。

■ 首長シンポジウム

続いて行われた首長シンポジウムでは、元我孫子市長の福嶋浩彦さんの問題提起を受け、4人の首長が、それぞれの地域でどのような未来を描き、その実現に向けて取り組んでいるのかを熱く語りました。

登壇されたのは、伊賀市長の稲森稔尚さん、長久手市長の佐藤有美さん、宝塚市長の森臨太郎さん、美咲町長の青野高陽さんです。

共通していたのは、人口減少や高齢化という厳しい現実を前にしても、単に行政サービスを削減するのではなく、民主主義を土台に住民と対話し、地域の未来をともにつくっていくという姿勢でした。

「何を残し、何を変えるのか」。

その判断を行政だけで決めるのではなく、住民との熟議を重ねながら進めていくことが、これからの自治体運営にはますます重要になると感じました。

■ 分科会「住宅と学校の断熱化」

2日にわたり、二つの分科会にも参加しました。

分科会2「住宅と学校の断熱化」では、NPO上田市民エネルギー理事長の藤川まゆみさんから、住宅の天井断熱による効果や、白馬高校などで行われている断熱ワークショップの取り組みについて伺いました。

断熱によって室内の温熱環境が改善され、快適性や健康面だけでなく、学習効率の向上にもつながるという研究結果も紹介されました。

また、岡山県での学校断熱改修や体育館の現状、鳥取県の「とっとり健康省エネ住宅『NE-ST』」についても学びました。

国の基準だけでは、経済的に家全体を十分に温めることが難しいという課題に対して、鳥取県では県独自の住宅性能基準と評価システム「T-HAS」を設けています。

断熱は、環境政策であると同時に、健康、教育、福祉、そして暮らしの質に関わる政策でもある。

長野県においても、住宅や学校の断熱化をどのように進めていくのか、改めて考える機会となりました。

■ 分科会「包括的性教育と若者の政治参加」

もう一つ参加したのが、分科会4「岡山のユース視点で捉える包括的性教育と若者の政治参加」です。

3名の20代女性から、それぞれの活動についてお話を伺いました。

澤田まりあさんからは「生理革命委員会」の取り組み、佐々木恵梨さんからは大学内での性教育ワークショップ、横山浩花さんからは、保守系地方議員の性教育に対する考え方についての研究について報告がありました。

特に印象に残ったのは、包括的性教育を、

「自分と自分の大切な人を大切にできる社会をめざすための教育」

と捉えていることです。

また、3名とも活動を続ける中で議会や議員と接点を持ち、「政治は自分たちの日常生活に直結している」ことを実感した一方で、「きっかけがなければ、そのことに気づかない」ということにも気づいたと話されました。

横山浩花さんは、若者がジェンダーや政治を身近な問題として考える場づくりにも取り組んでいます。

若い世代が政治を「遠い世界の話」と感じるのではなく、自分の暮らしや未来に関わるものとして考える。そのための接点や場をつくることの重要性を感じました。

■ 住民とともに「縮む」からこそ、未来をつくれる

2日間を通して最も大きな学びとなったのは、人口減少を前にした自治体のあり方です。

人口が減ることを前提とすれば、これまでと同じものをすべて維持することはできません。

だからこそ、何を残し、何を変え、何に投資するのか。

その選択を行政だけで決めるのではなく、住民の声を聴き、対話し、熟議しながら決めていく。

「賢く縮む」とは、単に小さくなることではなく、地域に本当に必要なものを見極め、限られた資源を未来のために使うことなのだと思います。

これは、人口減少と高齢化に直面する長野県や安曇野市にとっても、決して他人事ではありません。

今回、住民の声を反映しながら「スマートシュリンク」に取り組む自治体の首長が一堂に会し、それぞれの実践と考えを直接伺えたことは、大変貴重な機会でした。

そして、もう一つ、大きな「宿題」をいただきました。

来年の全国政策研究集会は、長野県で開催されます。

身の引き締まる思いがする一方で、長野県ならではのテーマや企画をどのようにつくっていこうかと考えることに、大きな楽しみも感じています。

岡山で受け取った政策研究のバトンを、しっかりと長野へつなぐ。

そして、人口減少社会にあっても、住民一人ひとりが希望を持ち、「この地域で暮らしていきたい」と思える地域の未来を、皆さんとともに考えていきたいと思います。