#中央東線高速化促進・定時制確保広域期成同盟会
8月19日、ホテルブエナビスタにて開催された「中央東線高速化促進・定時制確保広域期成同盟会」の令和8年度定期総会に参加しました。
同盟会には、山梨県・長野県の沿線自治体をはじめ、経済・観光振興団体などが参加し、特急「あずさ」など中央東線の高速化・定時性の確保を目指して、調査・研究や要望活動を行っています。
定期総会に続いて、國學院大學名誉教授の楓千里先生による「中央東線がつなぐ地域の魅力と観光まちづくり」と題した講演を拝聴しました。
長年にわたり旅雑誌の編集に携わり、日本初の観光まちづくり学部の名誉教授でもある楓先生から、国が「観光立国」の実現に向けて掲げる「観光まちづくり」について、幅広いお話を伺いました。
〇「観光」と「まちづくり」を融合する
観光まちづくりとは、観光とまちづくりを融合させ、住民と観光客の双方にとって魅力ある地域を生み出し、持続可能な地域社会の形成を目指す取り組みです。
そこには、観光関連事業者や行政・公共部門だけでなく、交通・移動、地域住民・地域団体、地域産業、文化・教育・環境、来訪者、金融・不動産など、実に多様な関係者が関わります。
そのため、観光まちづくりを担う人材として、移住者や学生、外国人など、多様な人々の力にも期待が寄せられています。
地域のネットワーク形成が欠かせない一方で、いわゆる「ワークショップ疲れ」への工夫として、「100人カイギ」も紹介されました。
「100人カイギ」は、毎回、身近で面白い活動をしている5人のゲストが10分ずつ話す会を20回開催し、参加者が100人に達したところで解散するという取り組みです。肩書や立場を超えて、人と人とのつながりを生み出す仕組みとして、とても興味深い事例でした。
〇中央東線そのものが持つ大きな観光資源
國學院大學のまちづくり観光学部は、「地域を見つめ、地域を動かす」をスローガンに2022年に新設され、この3月に初めての卒業生を送り出したとのことです。
36名の多彩な専門性を持つ教員陣を擁し、卒業生の進路も多岐にわたるなど、これからの地域づくりを担う人材育成にも取り組まれています。
講演では、インバウンドについてもお話がありました。訪日外国人旅行者はコロナ禍前と比べても増加しており、その移動手段として公共交通が重要な役割を担っています。
その中で、中央東線には大きな可能性があります。
都会を出発し、豊かな自然が広がる車窓へと景色が移り変わり、桃源郷、南アルプス、諏訪湖、そして北アルプスへと続いていく――。
まさに「外国人をも惹きつける、日本屈指の沿線車窓」が中央東線の大きな魅力です。
また、乗り換えが少なく、特急「あずさ」は松本駅以北まで乗り入れているため、新宿から乗車して大きな乗り換えをすることなく目的地へ向かえることも、大きなメリットです。
中央東線は、単なる「移動手段」ではなく、それ自体が地域の魅力を体験できる観光資源になり得るのだと、改めて感じました。
〇AI時代に重要になる「ストック型情報」
地域の魅力を発信する上で、近年急速に発達しているAIによって、情報の届け方も大きく変わっているとのお話も印象に残りました。
SNSなどの動画をきっかけに旅行先への関心を持つ一方で、具体的な目的地や行程を決める際にはAIを活用する人が増えています。
そこで重要になるのが、AIが参照する「ストック型情報」です。
これは、自治体や観光協会などが公式ホームページに掲載している、地域の基本的な情報や観光情報などを指します。
SNSで一時的に話題になる情報だけでなく、公式サイトに掲載された正確で充実した情報を日頃から蓄積しておくことが、これからの観光振興において非常に重要になる――という点は、今回の講演の中でも特に大きな気づきでした。
講演のまとめとして、中央東線を活かした今後の取り組みについて、次のような提案がありました。
1. 沿線自治体それぞれの観光ビジョンを「中央東線」でつなぎ、沿線全体のビジョンとして広域化する
2. 中央東線に、より親しみを持ってもらえる愛称をつける(例えば「Japan Scenic Highland Line」)
3. 中央東線を「移動する鉄道」から「景観を楽しむ鉄道」へ
4. より多くの方に参画していただけるよう、同盟会の名称も親しみやすいものにする(例えば「中央東線みらいプロジェクト」)
短い時間の中に、これからの地域づくりや観光振興につながる学びが凝縮された、大変有意義な講演でした。
来年は「信州デスティネーションキャンペーン」も予定されています。
この機会を一つの契機として、中央東線でつながる山梨・長野の沿線地域が、それぞれの魅力をさらに磨きながら、鉄道を軸とした広域的な「観光まちづくり」を進めていければと思います。
中央東線を、地域と地域、人と人をつなぐだけでなく、訪れる人に「移動そのものを楽しんでもらえる鉄道」へ。沿線地域の新たな魅力づくりに、今後も期待したいと思います。


